先日の記事でもご紹介しましたが、ロードバイク用ビンディングシューズ、SHIMANO S-PHYRE RC903を再び購入しました。
RC903は新品であってもフィット感が非常に良く、サイズ感も問題ありません。足を入れた瞬間の収まりも良く、あらためてRC903は良いシューズだと感じました。
シューズを新しくすると、足入れの感覚やホールド感は変わります。アッパーの張りが戻り、ヒールカップもしっかりしているため、古いシューズとは違う新鮮なフィット感があります。
ただ、実際に使い始めてみると、少し気になる違和感がありました。
かなり気温は上がってきていますが、実は最近まで冬用のメリノウールソックスを使用していました。わずかに厚みのあるソックスです。そこから夏用の薄手のソックスに戻したところ、どうにもシューズ内での収まりが悪く感じるようになりました。
もちろん、シューズサイズが変わったわけではありません。BOAの締め方や履き方も、基本的にはこれまでと大きく変えていません。それでも、足がシューズの中でわずかに落ち着かないような違和感がありました。
この違和感はどこから来ているのか。
今回は、新しいシューズで感じた足裏の違和感と、その原因として見えてきたインソールの劣化について書いてみます。
新品シューズの違和感
最初に感じたのは、シューズとの一体感の少なさでした。
シューズ自体は足に合っているはずなのに、ペダリング中に足が少し落ち着かず、逃げるような感覚があります。足が大きくズレるわけではありません。ただ、踏み込んだときや回しているときに、シューズの中でわずかに遊びがあるように感じました。
BOAダイヤルを締め込めば、ある程度は落ち着きます。しかし、そこでまた別の違和感が出ました。買い替え前は、ここまで強く締めていなかったような気がします。
新品シューズなので、多少の硬さや馴染みの少なさはあります。それでも、フィット感そのものは良いのに、なぜか足裏が安定しません。BOAを強めに締めれば落ち着くものの、それは本来のフィット感というより、上から無理に押さえ込んでいるような感覚でした。
この時点では、シューズがまだ馴染んでいないだけかもしれないとも考えました。新しいシューズは古いシューズに比べて形がしっかりしていて、アッパーにも張りがあります。一方で、古いシューズは良くも悪くも足に馴染み、全体が少しずつ変形しています。その違いが違和感として出ている可能性もあります。
ただ、締め込みを強くして使っていると、以前のシューズよりも血行が悪くなるためか、足先がしびれやすくも感じました。
それでも、単なるシューズの硬さや馴染みだけでは説明しきれないような落ち着かなさであり、足裏側の不安定さがありました。
疑ったのはインソール
そこで、インソールを確認してみました。
使用していたのは、ソールスターのKONTROL2です。価格は20,900円で、ロードバイク用インソールとしてはかなり高価な部類です。下手をすると、ミドルグレードのビンディングシューズが購入できてしまうほどの金額です。
ソールスターは、かかと側と前足部の両方を支えることで、足の回内・回外方向の崩れを抑え、ペダリング中の足を安定した位置に保つことを狙ったインソールです。さらに、中足骨指節関節付近を低く設計することでペダル軸との距離を抑え、力の伝達効率を高める構造になっています。この一連の足裏支持構造を、ソールスターでは「スタビリゼーション・デルタ」と説明しています。
つまりソールスターは、単に足裏の隙間を埋める一般的なインソールとは少し違い、ペダリング中の足を安定した位置へ導くようなインソールだと考えています。だからこそ、これまでかなり気に入って使っていました。
ただし、このインソールはすでに2年以上使用していました。使用頻度は週6〜7回、雨天使用もあり、ロングライドや高強度練習でも使い続けてきました。走行距離で見ると、34,000km以上使っていたことになります。
あらためて表面を見ると、かなり使い込まれていました。前足部や指のあたりには明らかな跡が残り、表面には陥没も見られます。カーボンコア自体が大きく変形しているようには見えませんが、足に触れる表面部分はかなり潰れているように見えました。
正直、薄々は気がついていた気もします。ただ、高価なインソールですし、カーボンコアもしっかりしているため、まだ使えるだろうという気持ちもありました。
しかし、新しいシューズに入れたことで、その劣化がはっきり出たのかもしれません。
試しに、家にあったSHIMANOのカスタムフィットインソールに交換してみました。

全然違った
交換してみると、違和感はかなりすっきり消えました。
まず、足の逃げ感がなくなりました。シューズの中で足が遊ぶような感覚が減り、足裏が自然に収まります。ペダリング中にズレるような感覚も少なくなり、シューズとの一体感が強くなりました。
踏み面もはっきりしました。ヘタったインソールを使っていたときは、どこか足裏の当たり方が曖昧で、踏み込んだ力が少しぼやけるような感覚がありました。しかし、インソールを変えると足裏の当たりが自然になり、ペダルに力をかけたときの不安感が減りました。
BOAの締め具合も変わりました。以前のように強く締め込まなくても足が安定します。これはかなり大きな違いでした。
シューズのフィット感が良いのに、BOAを強く締めないと足が落ち着かない。この状態は、シューズの問題ではなく、インソール側で足裏を支えきれていなかった可能性があります。
SHIMANOのカスタムフィットインソールに戻したことで、足裏の支えが戻り、新しいシューズ本来のフィット感が出てきたように感じました。
もちろん、ソールスターKONTROL2とSHIMANOカスタムフィットインソールでは、そもそものコンセプトが違います。そのため、単純にどちらが優れているかを比べるものではないと思います。
ただ、今回に関しては、インソールを交換したことでペダリング時の安定感が戻りました。足裏がしっかり収まり、力をかけたときの不安感が減り、ロスなく回せる感覚も戻ったように感じました。
また、カスタムフィットインソールに交換してから、少しクリート位置も微調整したくなるような印象がありました。インソールが変わると、足裏の支え方やシューズ内での足の収まりが変わるため、同じクリート位置でもペダルに対して力をかけたい位置が少し変わることがあります。
このあたりも、インソールが単なる中敷きではなく、ペダリング時の足の位置や力のかかり方に影響する機材だと感じた部分です。
インソールのヘタリによる影響を考える
今回使用していたソールスターKONTROL2は、長く使い込まれたことでかなりヘタっていました。足指、母指球、かかと周辺には、自分の足裏の形がはっきり残るように凹みが出ています。
ただ、ここで少し疑問も出てきます。インソールが自分の足裏の形に合うこと自体は、悪いことなのでしょうか。
実際、SHIMANOのカスタムフィットインソールのように、熱成形によって足裏に合わせるインソールもあります。足裏の形に合っているなら、むしろフィット感が良くなりそうにも思えます。
では、なぜ今回のような凹みが違和感につながったのか。
ここは、足裏に合わせて成形された状態と、長期間の荷重で押し潰された状態を分けて考える必要があります。
カスタムフィットは、足裏を支えるために形を合わせるものです。一方で、ヘタったインソールの陥没は、長期間の使用で荷重が集中する部分が押し潰された状態です。見た目には足型に馴染んでいるように見えても、実際には足を安定した位置で支えるための高さや張りが失われている可能性があります。
特にソールスターは、一般的な柔らかいクッション系インソールとは少し考え方が違います。足裏の隙間をただ埋めるというより、足裏を安定させ、ペダリング中の足の倒れ込みやブレを抑えることを狙ったインソールです。
特徴的なのは、土踏まずの内側にあたる縦アーチと、親指の付け根の後ろ側にあたる横アーチ付近を支える構造です。ソールスターでは、この支え方を「スタビリゼーション・デルタ」と説明しています。
つまり、ソールスターの良さは、単に足裏に柔らかく馴染むことではありません。足裏を一定の位置で支え続けることに意味があります。
そのため、表面層が長期間の使用で潰れてしまうと、足裏にフィットしているように見えても、本来支えたかった部分を支えきれなくなる可能性があります。足が沈み込む位置が変わったり、荷重のかかり方が偏ったりすると、ペダリング中に足が安定しにくくなります。
今回の感覚でいうと、まさにそれでした。
- 足がシューズの中で少し逃げる、ズレる。
- 踏み面がぼやける。
- BOAを強く締めないと落ち着かない。
- パワーをかけたときに、足裏の支えに少し不安がある。
これらは、シューズそのものではなく、インソール側の支えが弱くなっていたことで起きていたのかもしれません。
もちろん、これはあくまで今回の使用状況と体感からの推測です。ただ、インソールを交換したことで違和感が大きく改善したことを考えると、ヘタったインソールが原因だった可能性はかなり高いと思います。
そして今回あらためて感じたのは、どれだけ高価な機材でも、状態が悪くなれば本来の性能は出ないということです。
高価な機材でもヘタれば性能は落ちる
ソールスターKONTROL2は、インソールとしてはかなり高価な製品で、決して安いものではありません。
正直なところ、この価格で2年ほどの使用期間と考えると、コストパフォーマンスが良いのかは少し疑問に感じる部分もあります。今回の状態を見ると、実際には2年でもかなり使いすぎていたように思います。使用頻度を考えると、1年から1年半ほどで一度状態を確認しておくべきだったのかもしれません。
なお、ソールスター公式でも1シーズンでの交換が推奨されています。そう考えると、今回の2年以上、34,000km以上という使用状況は、かなり長く使った部類だと思います。
ただし、今回の使用状況を考えると、かなり酷使していたのも事実です。週6〜7回使用し、雨天でも使い、ロングライドや高強度練習でも使い続けてきました。走行距離で見ると、34,000km以上です。
ここまで使えば、表面材やクッション層が潰れても不思議ではありません。カーボンコアを使ったしっかりしたインソールであっても、足に触れる部分まで半永久的に性能を維持するわけではないということです。
そしてこれは、インソールだけの話ではありません。
タイヤは高性能なモデルでも、摩耗すればグリップや乗り心地が変わります。サドルも長く使えば座面が沈み、骨盤の位置やペダリングの安定感に影響することがあります。シューズ自体も、アッパーやヒールカップがヘタればホールド感は落ちます。
チェーン、ブレーキパッド、プーリー、ベアリングなども同じです。グレードが高いからといって、劣化した状態でも性能が維持されるわけではありません。
高価な機材でも、ヘタれば性能は落ちます。むしろ高性能な機材ほど、本来の状態から外れたときに違和感として出やすいこともあります。
まとめ
今回は、新しいロードバイクシューズを使い始めたことで、長く使っていたインソールの劣化に気づきました。
シューズ自体のフィット感は非常に良かったものの、ペダリング中に足がわずかに落ち着かず、BOAを強めに締めないと安定しない違和感がありました。最初はシューズの馴染みやソックスの厚みの違いかとも思いましたが、インソールを交換してみると、その違和感はかなり改善されました。
もちろん、ソールスター自体は非常に良いインソールだと思います。実際、2年以上すっかり慣れるほど気に入って使っていました。ただ、公式では1シーズンでの交換が推奨されていることを考えると、2万円前後のインソールをどのくらいの頻度で交換できるかは、おサイフ事情との相談になる部分もあります。
インソールにはさまざまな製品があり、足との相性、シューズとの相性、ペダリングの感覚との相性があります。ソールスターが合う人もいれば、SHIMANOのカスタムフィットのようなインソールのほうが自然に感じる人もいると思います。今回、自分自身もソールスターに慣れきっていた部分があるので、これを良い機会として、ほかのインソールも含めていろいろ試してみようと思います。
ともあれ、シューズだけでなくインソールも、ロードバイクにおいてかなり重要な機材の一つです。新しいシューズに違和感があるときは、シューズ本体だけでなく、インソールの状態も確認してみるとよいと思います。
高価なインソールでも、ヘタれば本来の性能は出ません。状態が悪くなった機材を使い続けると、性能部品だったはずのものが、違和感の原因になることもあります。


