ロードバイク用のビンディングシューズは、走行性能に大きく関わる重要な部分です。
ペダルへ力を伝える部分であり、足を支える部分でもあり、長時間のライドでは快適性にも関わります。
現在使用しているのはSHIMANO S-PHYRE RC903です。2022年11月に購入してからゆうに3年を超え、今なお使い続けておりました。使用期間は約3年半です。
盆暮れ正月などを除けば、ほぼ週6〜7回の頻度で使用してきましたので、正確な回数は数えていませんが、使用回数は1000回を超えていると思います。もちろん雨の日も、雪の日も、かなりハードに使ってきました。
では、実際にRC903は1000回以上使うとどうなるのか。
今回は、3年半以上・1000回以上使ったSHIMANO RC903を新品と比較しながら、耐久性や劣化について感じたことをまとめてみようと思います。
買い替えた理由
今回買い替えた理由は、フィット感が明確に悪くなったからではありません。一番大きな理由は、単純に外観の劣化です。
いつしかアッパーには落ちない汚れや傷がつき、一部は破れはじめ、BOAワイヤーが当たる部分も切れてきました。また、ヒールパッドも擦り切れ、最終的には金属部分が出てきてしまいました。

そのままではさすがに使いにくいため、古タイヤを切って貼り、簡易的に補修しながら使っていました。交換用のヒールパッドはSHIMANO公式オンラインストアで購入できますし、代替品も探せばありました。ただ、そろそろ買い替えも検討していたため、今回は古タイヤで補修して使っていました。
さすがにアッパーの傷も目立つようになり、補修で使い続けるのも厳しくなってきたため、今回は買い替えることにしました。ただ、それでも外観を気にしなければ、普通に、むしろ何も不満なく使えてしまっていました。そのため、ついそのまま使い続けてしまいました。
ロードバイク用シューズは、ソールが剥がれたり、割れたりすれば交換時期が分かりやすいです。しかし、フィット感の変化は少しずつ進むため、毎日使っていると意外と気が付きにくい部分です。
新旧を比べた外観

新品のRC903と、3年半以上使ったRC903を並べてみると、見た目の差はかなり大きく出ていました。
新品は履き口まわりがしっかりしており、踵周辺にも張りがあります。一方で、使い込んだ白いRC903は、履き口がやや広がり、アッパー全体も少し膨らんだように見えます。言い方を選ばずに言えば、長年使った白いRC903は少し太ったようにも見えます。
もちろん、シューズのサイズは同じです。長期間の使用によって、アッパーや内側のパッドが馴染み、伸びたり、張りが落ちたりした結果だと思います。
また、外観の汚れや擦れもかなりあります。雨の日も雪の日も普通に使ってきましたし、特に気を使って使用していたわけでもありません。ここまで使えば、見た目が傷むのは当然です。ただ、新品と並べることで、普段は気づきにくい変化がかなり分かりやすくなりました。
フィット感の変化は
今回改めて感じたのは、肝心要のフィット感です。
3年半以上、1000回以上使ってきたにもかかわらず、フィット感が完全に崩壊していたわけではありませんでした。もちろん、新品と比べれば違いはあります。履き口の張りや踵まわりの支え方は変わっています。
それでも、足がシューズの中で大きく遊ぶような感覚や、BOAを締めても収まらないような感覚はありませんでした。買い替える直前まで、通常のトレーニングはもちろん、スプリント練習でも問題なく使用できていました。
これはかなりすごいことだと思います。ハイエンドシューズは高価ですが、単に新品時のフィット感が良いだけでは十分ではありません。毎日のように使い続けても、ある程度のフィット感を長く保てることは、実用品として非常に大切な性能です。
新品との差
それでも、新品と比べると、やはり踵まわりのホールド感には違いがありました。
古いRC903も、踵のカップ自体が大きく崩れているようには感じません。ヒールカップは硬いものですので形は変わらないと思いますが、流石にアッパー素材は伸びます。
アキレス腱周辺の包み込みや履き口の支え方は、新品のほうが明らかにしっかりしています。新品を履くと、踵から足首まわりにかけて、足がより自然に収まる感覚があります。

この部分は、使い込んだシューズでは少しずつ薄れていたのだと思います。毎日使っているとこうした変化にはなかなか気が付きません。少しずつ馴染んでいくため、ある日突然「ホールド感が落ちた」と感じるわけではないからです。
しかし、新品と履き比べるとやはり違いはあります。わずかではありますが、踏んだときの一体感も新品のほうが高く、余計な遊びが少ないように感じました。
これは数値で検証したものではありませんので、何ワット変わるという話ではありません。ただ、足とシューズの一体感という意味では、新品のほうが気持ちよく踏める感覚があります。
黒を選んだ理由
今回購入したRC903はブラックです。
本来、真夏の暑さを考えれば、白のほうが有利だと思います。直射日光を受けたときの熱の持ち方を考えると、機能性だけで見れば白を選びたくなります。
ただ、今回はたまたま在庫の問題もありますが、もともと黒は好きな色です。見た目も引き締まって見えますし、汚れも目立ちにくいです。
白いシューズは軽く見えて格好良いのですが、どうしても汚れは気になります。ロードバイク用シューズは少なからず歩く場面もありますし、雨の日に使うこともあります。泥、砂、オイル系の汚れなども完全には避けられません。
その点、黒は気楽に使えます。真夏の暑さだけは気になるところですが、そこを乗り越えられれば、実用品としてはかなり良い選択だと思います。
まとめ
今回RC903を新品へ買い替えて改めて感じたのは、ビンディングシューズは単に新品時のフィット感だけで評価するものではないということです。
もちろん、新品のRC903は非常に良いです。踵まわりのホールド感、足との一体感からくる安定感、アッパーの構造・柔らかさなど、使い込んだものと比べると明らかに違いがあります。
ただ、それ以上に驚いたのは、3年半以上、1000回以上使っても、古いRC903がまだ普通に使えていたことです。
確かに外観はかなり傷んでいます。ヒールパッドも擦り切れ、アッパーにも汚れや傷が目立ちます。それでも、フィット感が完全に崩壊していたわけではありませんでした。
毎日のように使い、雨でも雪でも使い、それでも最後までロードバイク用シューズとして普通に使えていたことを考えると、RC903はかなりよくできたシューズだと思います。
それでも、やはり新品と比べてしまうと、踵まわりのホールド感や足との一体感には差があります。普段の練習では気にならなくても、レースやタイムを狙う場面では、この差は小さくないかもしれません。
RC903は決して安いシューズではありません。
しかし、ここまで使ってもフィット感が大きく崩れず、新品に戻したときに改めて良さを感じられるのであれば、価格だけで判断するシューズではないと思います。
高いけれど、長く使え、長く使ったあとでも「やはり同じものをもう一度買おう」と思える。
自分にとってRC903は、そういうシューズです。

