明後日、富士ヒルに臨むすべての選手へ。
2026年、今年の富士ヒルまで、残すところあと2日となりました。
きっとこの日のために、たくさんの練習をしてきた選手も多いと思います。
寒い日も、風が強い日も、調子が悪い日も、忙しくて思うように走れなかった日もあったと思います。仕事や家庭の合間に時間を作り、眠い朝に起きて、疲れている体でペダルを回し、それでも少しでも強くなりたいと思って積み重ねてきた時間があると思います。
富士ヒルは、日本が誇る富士山を駆け上がるという大きな魅力があります。しかしそれだけではなく、一般的なレースとは少し違い、多くの選手がそれぞれの目標に向けて走りながら、周りの選手と協力し合う場面も多いイベントだと思います。
とはいえ、富士ヒルは決して簡単なレースではありません。距離にして24km、獲得標高は1,200mにもなりますので、完走を目指すだけでも十分に大変ですし、そこに目標タイムが加われば、当日の緊張感はまったく違うものになります。
ブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナ。去年の自分を超えたい人、初めて完走を目指す人、仲間と一緒に笑顔で帰りたい人、もちろん表彰台を狙う人もいます。それぞれに、それぞれの富士ヒルにかける思いがあると思います。
そんな待ちに待った富士ヒルですが、当日、すべてがうまくいくとは限りません。
慣れない前泊で朝から体が重いかもしれません。想定以上に気温が低く、思ったより脚が回らないかもしれません。緊張から心拍がうまく安定しないかもしれません。補給がうまくいかないかもしれません。天気、気温、風、渋滞、機材、体調。どれだけ準備をしても、自分ではどうにもできないことはあります。
少しだけ、私自身の話をさせてください。
私は、はっきり言ってかなり緊張します。富士ヒルも含めて、レースやイベントには何度も出ています。もう何回目なんだという話なのですが、それでも毎回しっかり緊張します。
レース当日は、食事もいつものようには喉を通りません。整列してからも、何度もトイレに行きたくなります。周りの選手が楽しそうにしていたり、ワクワクした表情で並んでいたりする中で、私は何度出ても緊張して、内心かなり落ち着かない状態になっています。
はっきり言って、私はいわゆる本番に弱いタイプです。
だから、レース当日に練習以上の成果を突然出せることなんて、私にはまったくありません。本番になったら急に強くなるどころか、いつもの自分を出すことだけでも十分に難しいと感じています。
それでも、毎年富士ヒルには出ています。
緊張するとわかっていても、うまく走れないかもしれないとわかっていても、それでも自分にとって目標でもある大切な一大イベントとして、出場を続けています。
初めて富士ヒルに出る方や、まだ手探りで参加する方の中には、当日の雰囲気に飲まれてしまう方もいると思います。周りの選手が強そうに見えたり、みんな落ち着いているように見えたりして、自分だけが不安になっているように感じることもあるかもしれません。
でも、ご安心ください。
常連組のような顔をしていても、めちゃくちゃ緊張している人間はいます。少なくとも私は、かなり緊張しています。もしかすると、初めて参加する方よりも、私のほうがずっと緊張しているかもしれません。
怖くても、不安でも、落ち着かなくても、それはおかしなことではありません。それだけ本気で向き合ってきたということです。どうでもよいことなら、そこまで緊張しないはずです。
もし当日、スタート前に不安になったら思い出してください。
何度出ても、食事は満足に喉を通らず、何度もトイレに行きたくなり、周りの選手を見て落ち着かなくなっている人間もいるということを。
緊張していても、スタートラインに立てたなら、それだけで十分すごいことだと思います。
さらに、そこから目標に向かって諦めずに走ることには大きな価値があります。今ある力で、最後まで一生懸命走ること。苦しい中でも前を向いて、1秒でも、1mでも、自分の目標に近づこうとすること。それは本当にすごいことだと思います。
結果は大切です。目標タイムを目指してきた人にとって、結果が大切ではないはずがありません。出したかったタイムがあり、届きたかったラインがあり、そのために積み重ねてきた時間がある。だから、結果を求めることはとても自然なことですし、結果が出たらそれはもう最高です。目標を達成できたなら、その日は胸を張って、自分を思いきり褒めて、称えてよいと思います。
しかしもちろん、結果が出ることは何よりも素晴らしいことだと思いますが、結果だけがすべてではないとも考えています。たとえ思ったようなタイムが出なかったとしても、目標に届かなかったとしても、ここまで走ってきた時間が無駄になるわけではありません。積み重ねてきた練習は、当日のタイムひとつで消えるものではありません。
結果が出なかったとき、自分が一番悔しいと思います。その悔しさは、私自身もよくわかっているつもりです。周りから何を言われるよりも、自分自身が一番わかっていると思います。それでも、そこまで本気で悔しがれるほど、真面目に向き合ってきたということでもあると思います。
富士ヒルは、ただのヒルクライムイベントではないと思います。
目標に向けて積み重ねてきた時間を、自分で確かめに行く場所でもあると思います。だからこそ、どうか最後まで諦めずに走ってください。調子が良くなくても、思ったように踏めなくても、途中で苦しくなっても、しっかりと顔を上げ、前を見て、今できる走りを堂々としてほしいと思います。
もちろん、無理をして怪我をする必要はありません。危ない走りをする必要もありません。下山まで含めて、無事に帰ってくることが一番大切です。そのうえで、走っている時間だけは、ここまで頑張ってきた自分を信じてほしいと思います。
当日、結果が出たら最高です。しかし結果が出なかったとしても、それでも胸を張っていいと思います。綺麗事かもしれませんが、目標に向けて頑張ってきた時間には、ちゃんと意味がありますし、価値があります。
明後日、富士ヒルに臨むすべての選手へ。
どうか怪我なく、どうか無事に、そして最後まで自分の走りをしてください。
頑張れ!
本気で頑張れ!
みなさまにとって、最高の一日になりますように。

